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EDなんて恐くない

2018年5月に開催されました日本抗加齢医学会総会のシンポジウム、「EDなんて恐くない」というセッションに参加してきましたので、発表内容を以下にまとめてみました。

EDは加齢のみでなく、動脈硬化や血管内皮障害を始めとする生活習慣病と関連します。
すなわち、EDのリスクファクターとして、糖尿病、高血圧、肥満、睡眠時無呼吸症候群、慢性腎臓病などが挙げられます。

糖尿病では血管内皮障害が早期から出現します。糖尿病ではEDの有病率が高く(64%)、ED初診の34%は耐糖能異常を認めます。なお、糖尿病を対象とした研究では、長い座位時間を有する人は運動習慣があってもEDが増加することがわかっています(すなわち、立っていないと勃起しなくなる)。20ー30分毎の5分程度の立位や歩行・スクワットなどの筋トレがよいとされています。

うつ症状、夜間排尿回数とEDは正の相関を、運動習慣はEDと負の相関を認めます。

肥満は独立したEDのリスクファクターで、運動や食事で減量することによって勃起機能が回復するとの研究が多くあります。

睡眠時無呼吸症候群も独立したEDのリスクファクターで、治療介入により勃起機能は有意に回復します。なお、バイアグラなどPDE-5阻害薬には鼻閉の副作用があり、睡眠時無呼吸症候群が悪化することがありますので注意が必要です。

アルコールはEDに対する予防的効果があるとされますが、少量の飲酒でも血管内皮機能が低下するとの報告もありますので、飲みすぎは禁物です。

タダラフィル(5mgは商品名ザルティアで前立腺肥大改善薬、20mgは商品名シアリスとして勃起不全改善薬)には、動脈硬化・血管内皮機能改善効果、インスリン抵抗性改善効果も認められ、前立腺肥大・勃起機能改善効果を併せ持つ、アンチエイジング薬と位置づけられます。

血管内皮機能を高めるレスベラトロールは、長寿遺伝子であるSIRT1を介して陰茎海綿体平滑筋細胞内のNOを高めることから勃起力を高める可能性が示唆されております。

2018-07-26 08:31:00

アスタキサンチンによるNASHの予防・抑制

2016年の抗加齢医学会総会のランチョンセミナーにおいてアスタキサンチンが取り上げられましたので、その元になる発表(金沢大学)をまとめてみました。

 

国内患者数が2000万人と推定され、肝臓の生活習慣病といわれる非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、肝臓に脂肪が沈着した単純性脂肪肝と、単純性脂肪肝に炎症を発症した非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に分類されます。NASH520%が肝硬変や肝がんへと進行します。

 

マウスを使った実験では、NASHを引き起こす高コレステロールの餌にアスタキサンチンを混ぜた群は、インスリン抵抗性(メタボリック症候群の大元の原因)が弱まり、肝臓の脂肪沈着が約50%減少しました。さらに脂肪沈着によって生じる脂質の過酸化(酸化ストレス)が80%以上抑制され、脂肪肝からNASHの発症が抑えられることが判明しました。

 

次に、NASHを発症させたマウスに、餌にアスタキサンチンを混ぜたものを与えると、肝硬変につながる肝臓の炎症や線維化が80%近く改善し、治療効果を示すことが判明しました。

 

臨床試験においても、NASH患者においてアスタキサンチン摂取により肝臓の脂肪蓄積が抑えられていることが確認されています。

 

当院では、高度の脂肪肝患者様、ヒアルロン酸値上昇・フェリチン値上昇・血小板数減少などからNASHへの移行が危惧される患者様に対し、アスタキサンチン摂取を勧めています。

2017-09-12 16:07:41

アスタキサンチン摂取による記憶能の向上

2016年の抗加齢医学会総会のランチョンセミナーにおいてアスタキサンチンが取り上げられましたので、その元になる発表(筑波大学)をまとめてみました。

 

アスタキサンチンはエビ・カニなどの甲殻類やサケに豊富に含まれている天然の赤い色素で、強力な抗酸化作用をもたらす次世代の天然サプリメントとして期待されています。

 

マウスを使った実験で、アスタキサンチン摂取は濃度依存的に海馬の神経新生を高めました。また、4週間のアスタキサンチン摂取により、マウスの学習能力および記憶能力の有意の向上が明らかとなりました。

 

さらに、アスタキサンチン摂取による海馬の神経新生と、認知機能が高まるという機序を説明する新たな分子機構が想定されました。そのうちアスタキサンチン摂取による海馬機能向上の分子機構の一つとして推定されたII4は、アルツハイマー病の原因とされるβアミロイドに対する除去能力に関与することが報告されています。したがってアスタキサンチン摂取によって高まるII4経路が、アルツハイマー病における海馬機能の低下を予防・改善する可能性があります。

 

当院では認知機能の低下が危惧される患者様に、アスタキサンチン摂取を勧めています。

 

2017-05-29 16:09:15

アンヘドニアについて-元気スイッチが入らない若者たち

今回は、今どきの青年たちを理解するためのキーワードの一つ、「アンヘドニア」を取りあげてみたいと思います。
アンヘドニアというのは「何も楽しめない」という感じ、あるいは快(へドン)を感じる可能性がそこなわれる、すなわち快感があるはずの状況でもそれを体験しない状態をさしています。平たく言えば「何しても面白くねえな」という感じとでもいいましょうか、とにかく抑うつと似て非なる、漠然として捉えがたい心理現象といえます。
アンヘドニアには大きく、身体感覚をめぐるもの(physical anhedonia)と対人関係に関わるもの(social anhedonia)とがありますが、前者は、たとえば「セックスはするにはするけど、おそらくは他の人が感じているほど気持ちよいと感じたことがない」、後者は「人にどう反応していいかわからない」「友人と交際していても、いつも楽しみよりもわずらわしさの方が勝ってしまう」といった訴えとして表現されます。そうなると体験の深みを失って、人間関係にも興味が持てなくなってしまうのです。
 

希薄な物語性≒アンヘドニア
アンヘドニアについて
シェーマに示すように、快感がなければ必然的に何にも価値を見出せなくなり、何かを目指すという意図もなくなってしまいます。今そのような、つかみどころのない青年たちが潜在的なひろがりをみせているのです。困ることは、アンヘドニアには「抑うつ」や「離人症」のように疎隔感や違和感がともなわれないため、それを治そうという気持ちにもなかなかなれないことです。
アンヘドニアに陥ってしまうと、物語が砂の城のように崩れてしまい、どうにも一つのビジョン(物語)に結実していきません。そして意欲が失せて、どうしても元気スイッチが入らない、どこにもコミットできない、しかもコミットできないことを悩むのではなく、ただ自らコミットしなくなる。何事にも取り組もうとしない彼らはフラットな感じ、あるいはどこか「ぬけぬけとした印象」を周囲に与えることもあります。
 
スーパーフラットな青年の出現
アンヘドニアについて
じつはアンヘドニックな若者には特有のナイーブさがあるのですが、興味をもたない、価値をめざさない彼らにアプローチするのは簡単なことではありません。こういった現象が気になるという方は、拙書(2017年3月出版)「幻想としての<私>アスペルガー的人間の時代(勁草書房)にもあたってみてください。手がかりを見つけることができるはずです。

2017-02-15 11:29:54

栄養、特にアミノ酸とフレイル/サルコペニア

日本抗加齢医学会雑誌2016No5で「フレイルとアンチエイジング」が特集されました。その中から「栄養、特にアミノ酸とフレイル/サルコペニア」(小林久峰 味の素株式会社研究開発企画部シニアマネージャー)をまとめてみました。

健康を維持するための予備能が低下した状態が「フレイル(虚弱)」であり、高齢者が要介護状態に陥る前段階で、適切な介入によって健康な状態に戻ることができる不可逆的状態です。
フレイルの身体的要因については、加齢による骨格筋量の減少と筋力・身体機能の低下(サルコペニア)の占める割合が大きいとされます。

飢餓や疾病などによる侵襲時においては、骨格筋はタンパク質の分解によってアミノ酸を供給し、エネルギー産生などに利用されます。すなわち、栄養不足とフレイルには相互に因果関係があり、それをサルコペニアが仲介しているといえます。

アミノ酸の中でロイシンが筋タンパク質合成のトリガーとして筋細胞内の哺乳類ラパマイシン標的タンパク質複合体1(mTORC1)を活性化し、筋タンパク質合成を促進します。
なお、高齢者ではタンパク質摂取に対する筋タンパク質合成反応は減弱しており、最大反応を得るには若年者よりも多くのタンパク質の摂取を必要とします。

日本人の疫学データでは、タンパク質(特に動物性タンパク質)摂取量が多いほうがフレイルの発症リスクが低下することが報告されており、高齢者が骨格筋を健康に維持するにはより多くのタンパク質を摂取すべきです。

また、1回当たりのタンパク質摂取量の増加に対し、筋タンパク質合成反応には上限があることから、1日当たりではタンパク質を十分摂取している場合でも、3食のタンパク質摂取量が偏っている場合は、均等に摂取している場合よりも筋タンパク質同化の総量が少なくなると考えられています。1食ごとに十分な量のタンパク質を摂取している場合に、骨格筋の量が多いことが報告されており、1食当たりのタンパク質摂取量を考慮すべきです。

高齢者では食欲の低下などにより、タンパク質やアミノ酸のサプリメントによる補充が有効であると考えられます。

必須アミノの中でもロイシンは、細胞内の同化反応を制御するmTORC1を活性化し、タンパク質同化刺激因子として働きますが、ロイシンに対する筋タンパク質合成反応は、加齢に伴って低下します。そのため、高齢者の筋タンパク質合成を促進するため、必須アミノ酸混合物中のロイシンの含量を40%に高めたロイシン高配合必須アミノ酸混合物(Amino L40)が考案され、より大きな筋タンパク質合成を引き起こすことが確認されました。

Amino L40は少量で効率的に高齢者の筋タンパク質合成を促進します。
健康な日本人高齢者が、レジスタンス運動に併用してAmino L40を1日1回および2回摂取した場合、移動能力の改善が用量依存的に認められました。
サルコペニアが顕在化した日本人高齢女性を対象とした試験でも、運動とAmino L40摂取は、筋量、筋力、歩行速度の改善に相乗的に作用し、すべて有意に改善しました。
サルコペニアは、栄養などの筋タンパク質同化刺激に対する筋タンパク質合成反応が減弱することによって起こりますが、Amino L40は効率よく高齢者の骨格筋タンパク質合成を引き起こします。

当院でも、フレイル/サルコペニアを呈した患者様にAmino L40の購入(ネットで購入できます)をお勧めしており、要介護状態に陥るのを防ぐための一助になればと考えております。

2016-12-27 17:55:04

栄養と認知機能アンチエイジング

日本抗加齢医学会雑誌2016.04に、認知機能とアンチエイジングが特集されました。その中から、「栄養と認知機能アンチエイジング」(大塚 礼〔国立長寿医療研究センター〕)をまとめてみました。

認知症の発症には食事要因も関連すると考えられています。

地中海食が認知機能低下の要請因子であることを示す多くの観察研究があります。メタ解析では地中海食の強い集団はそうでない集団に比べ、認知機能障害の発症リスクが33%低下すると報告されています。地中海食の定義は、おおむね「季節折々の野菜、豆類、果物、種実類を多く摂取し、オリーブ油を主たる油脂として使い、魚介類や豚肉、乳製品(チーズやヨーグルトなど)は適量を、赤身肉は少なめに、食事中に適量の赤ワインを摂取する食事」を指します。

国立長寿医療研究センターでは1997年から老化・老年病予防を目的とした「老化に関する長期縦断研究疫学研究」を実施しています。 最近の検討では、乳製品やあるいは乳製品に多く含まれる短鎖脂肪酸や中鎖脂肪酸の高摂取が認知機能低下を抑制する可能性が見出されています。一方、穀類(ごはん・めん類・パン)摂取量が多いほど、認知機能低下リスクは増加します。言い換えると、摂取量に占める穀類摂取量の割合が高い、たとえば、めん類のようにおかずが少ない、穀類中心の食事を摂る傾向にある人は、認知機能低下のリスクが増大するということです(つまり、うどんやそば・ラーメンだけの食事は認知機能を低下させるということで、めん類を食べるときは、ごはん類などの穀類以外のトッピングが重要だということです)。

脂肪酸の中でも血清DHA(ドコサヘキサエン酸)濃度が低い群では10年後の認知機能低下リスクが高いこと、食事由来のDHA摂取と血清DHA濃度には正の相関があることから、DHAを多く含む青魚などの摂取は認知機能低下を予防する可能性があることが示唆されます。

最近では、単一の食品や栄養学的要因ではなく、さまざまな食品を摂取すること(食品摂取の多様性)が認知機能の維持に役立つ可能性を示唆する結果が得られています。

生活習慣病予防の観点からは、「減塩日本食」がよいことが報告されています。すなわち「米飯を中心とし、魚、肉、豆、野菜を豊富に含んだ日本食」から塩分摂取を控えた減塩日本食は、高血圧予防、動脈硬化性疾患予防、そして認知機能低下予防に少なからず貢献しうる食事であると考えられます。

欧米諸国では「地中海食」が認知症予防に有効と考えられていますが、日本人が古来営んできた独自の食生活を踏まえれば「季節折々の野菜、果物、豆類をたくさん取り入れ、魚介類も乳製品も積極的に、そして塩分は控えめにした身近な日本食」が、日本人の認知症予防のみならず健康寿命延伸にとって有効な食事と考えられます。

 

2016-11-08 10:35:06

中高年男性うつ病とテストステロン

日本抗加齢医学会雑誌(2016年vol12)に「男性のアンチエイジングとテストステロン」が特集されました。その中から「中高年男性うつ病とテストステロン」(渡部芳徳ら)をまとめてみました。

男性更年期障害(LOH症候群)は、中年男性の男性ホルモン(テストステロン)低下に伴う、身体症状(身体の痛み、筋力の低下)、精神症状(抑うつ気分、不安、不眠)、性機能症状(性欲減退、勃起力の低下)を主体とします。

LOH症候群は30代後半から増えますが、特に中高年男性のうつ症状と関連します。
LOH症候群治療の基本はテストステロン補充療法です。うつ症状に対してテストステロン補充のランダム比較試験により、うつスコアの有意な改善を認めたとの報告があります。本論文の執筆者、渡部氏のクリニックでは、抑うつ気分の男性患者さんのうち加齢男性症状スコアが高値の患者さんにはフリーテストステロン値を測定し、低値の場合はテストステロン補充療法も考慮しているということです。

うつ病患者さん(特に中高年男性)は、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を合併しやすい上、これを悪化させやすいとされます。こうした患者さんの背景にあるうつ病を治療しないと生活習慣病の改善は望めません。中高年男性の生活習慣病治療には、背後に潜むうつ病の存在に気づくことが重要です。

うつ病などの気分障害患者は非常にバランスの悪い食生活の人が多いとされます。気分障害との関連が示唆されている栄養素は、葉酸を含むビタミンB群、EPA・DHAなどのn-3系脂肪酸などです。

葉酸はビタミンB群の一種で、葉酸不足による脳梗塞や認知症、大腸癌との関連が指摘されています。ビタミンB群は男性のうつ症状と負の相関、双極性障害の身体症状と負の相関を示します。

n-3系脂肪酸は脳内リン脂質として存在します。 n-3系脂肪酸 などの不飽和脂肪酸が男性において不安症状と負の相関を示し、双極性障害患者においてn-3系脂肪酸が不安症状と負の相関を示します。

気分障害、特にうつ病・双極性障害患者さんの復職や再発予防に食事療法を行う意義があると考えられています。

2016-07-12 12:01:15

男性医療とアンチエイジング

2016年2月14日の日本抗加齢医学会講習会の「男性医療とアンチエイジング」(永井 敦・川崎医科大学泌尿器科)をまとめてみました。
 
男性ホルモンとして重要であるテストステロンのうち、遊離テストステロンが保険診療で測定可能です。
 
遊離テストステロン低値は、加齢・不健康な食生活(肉・揚げ物・ファストフード)に関連します。
低テストステロンと重大な心血管系疾患が相関し、また血中テストステロン値が低いと死亡率(全疾患)、心血管系疾患死亡率、癌死亡率が高いことが報告されています。
テストステロン低値患者にテストステロン補充療法を行うことにより死亡リスクが減少します。
なお、テストステロン補充療法は前立腺癌、睡眠時無呼吸症候群患者などでは禁忌となります。
 
下部尿路症状と低テストステロンは関連し、低テストステロン患者にテストステロンを補充すると排尿症状・蓄尿症状が改善し、残尿量も減少(メカニズムは動脈硬化改善・血流改善)します。なお3回以上の夜間頻尿の男性は早死にすることが報告されています。
 
70代日本人の71%がED(勃起障害)です。EDは種々のリスクファクター(高血圧、糖尿病、脂質異常、喫煙、肥満など)に加え低テストステロンが危険因子となります。
EDのリスクファクターの排除はアンチエイジングにつながります。EDは万病の元、あなどってはいけません。
 
ED治療薬であるPDE5阻害薬(バイアグラ・レビトラ・シアリス)のポテンシャルとして、骨盤虚血改善(⇒頻尿、排尿障害改善、前立腺肥大症改善)、記名力改善、血管内皮細胞リハビリ、テストステロン値上昇が挙げられます。
血中血管内皮細胞前駆細胞が低値であるほど有意に心血管イベントによる死亡率が高まりますが、タダラフィル(シアリス)投与により血中の血管内皮前駆細胞が増加し、また血流依存性血管拡張反応(FMD・血管年齢)が有意に改善します。
 
PDE5阻害薬で治療中のED患者には前立腺癌の発症率が少ないことが後ろ向き7年間の研究で証明されています。
PDE5阻害薬は前立腺の低酸素状態を改善させること、またPDE5阻害薬により頻回の射精をすることが低酸素状態を防ぐこと、これらにより前立腺癌の発症を抑える可能性があります。
 
動脈硬化/血管障害と前立腺肥大は関連があるとされ、射精(=前立腺の血流改善運動)は前立腺肥大症(癌)を抑制しアンチエイジングにつながります。週に2回以上セックスする人は心血管疾患発生率が少ないとされています。
 
ただし、男性は不倫により急性心筋梗塞の発症が増加すること、婚外性交が家庭内性交より急性心筋梗塞の発症が多いことが報告されていますのでご留意ください。
 
 

2016-02-18 17:54:00

マラソンにおける心停止

マラソンにおける心停止の話が、MEDICAL ASAHI(ERリポート 有吉孝一)に掲載されていましたのでまとめてみました。
 
白川らによれば、国内で開催された過去10年間(2002~11年)のマラソン競技で107例の心停止が発生し、その生存率は53%でした。また、心停止はゴール地点37%、レース3/4以降31%と、レース後半に多いということです。
 
米国での調査によりますと、マラソン中の心停止は10万人当たり2.03人(2005~2010年)で、他の運動競技に比べてリスクが高いわけではありませんが、年々増加しているようです。
原因は肥大型心筋症が最も多く、次に多い心筋梗塞よりも予後が悪いということです(肥大型心筋症は心エコーで簡単にわかりますから、マラソン競技者は一度は循環器内科で確認しておいた方がよいかもしれません)。
 
作家の村上春樹氏は、マラソンについて「僕がいつも決めてやっているのは、最後の400mを全力疾走することです。どんなきついレースでも、どんなコンディションでも、そのときに出せる最大のスピードで全力疾走します、それは一種の礼儀であり美学だと思っているから」と述べているそうですが、ゴール地点で心停止が多いことを考えると危険な走り方といえるでしょう。
 
なお、別のかなり古い文献によりますと、マラソンにおいて30km以降で血圧が急上昇する例があるそうです。このような例も心停止に至る可能性があります。レース中にリスト型の血圧計で自分の血圧の変化を確認してみるのがよいかもしれません。
 

2015-09-11 17:50:00

ED薬は習慣的に飲むべきか?

2014年に前立腺肥大に伴う排尿障害に対して、低容量PDE5阻害薬(勃起不全薬タダラフィル〔商品名シアリス〕の低用量薬〔商品名ザルティア〕)が認可されました。PDE5阻害薬には、今回認可された前立腺肥大症、周知の勃起不全(ED)改善以外にも、抗加齢に関与するような様々な作用が報告されています。
日本抗加齢医学会雑誌(2014.Vol1)に「ED薬は習慣的に飲むべき?」(堀江重郎、金木正夫)という誌上ディベートが掲載されていましたのでまとめてみました。
 
勃起現象は、まず性的刺激により副交感神経が活性化し、一酸化窒素(NO)が血管内皮細胞で産生されます。NOは、血管平滑筋細胞で環状グアノシン一リン酸(cGMP)を産生する可溶性グアニル酸シクラーゼを活性化し、cGMP産生を増加させます。cGMPは血管平滑筋の弛緩を促し、血管の拡張を引き起こします。その結果、血液が陰茎内部に流入することにより勃起が起こります。
一方、ホスホジエステラーゼ(PDE)は、前記のようなしくみで産生されたcGMPを分解する酵素であり、血管の拡張反応を適切に調節するためにcGMPを分解します。
現在ED薬として使われているPDE5阻害薬は、cGMPの分解を抑制することでcGMPの量を増やし、血管平滑筋の弛緩を促進することにより、血管拡張作用を引き起こします。
 
他方、なぜEDが生じるかというと、心理的な要因は別として、器質的なEDの大部分は、陰茎の海綿体平滑筋の弛緩不全による血管拡張反応の低下、つまり血管内皮機能不全が成因となっています。ですから、血管の拡張反応を促進するPDE5阻害薬がEDの改善につながるわけです。
 
EDであることは血管内皮機能の低下と考えられ、男性では早くも40歳過ぎに血管内皮機能の低下が始まります、EDは少なくとも陰茎の細い血管で血管内皮機能の低下が始まっていることを意味しており、将来、より太い血管での血管内皮機能が低下し、虚血性心疾患や脳梗塞を起こすリスクファクターとなります。
 
血管拡張反応の低下をきたす血管内皮機能不全は、動脈硬化の進展に重要な役割を演じています。PDE5阻害薬は血管内皮機能を高めるとともに、血管内皮前駆細胞数を上昇させることが証明されており、血管内皮の再生を高めることが予想されます。さらに、cGMPは心血管系だけでなく、脳神経系を含めすべての細胞で細胞内情報伝達物質としての役割を担っています。したがって、PDE5阻害薬は心血管系の病気はもちろん、認知機能の低下、脳梗塞後の血管新生促進作用、加齢に伴う筋肉減少(サルコペニア)など、さまざまな病気に対して効果を有する可能性が考えられています。
また、PDE5阻害薬は定期的に服用すると酸化ストレスを減少させます。これはヒトでも動物モデルでも実証されています。さらに精巣でのテストステロン産生を増加させます。また、耐糖能が改善し、排尿障害を改善します。
 
ただし、PDE5阻害薬のさまざまな病気に対する臨床試験は世界中で行われていますが、現在までにエビデンスが得られている疾患は、ED以外では原発性肺高血圧症と前立腺肥大のみです。
 
また、PDE5阻害薬には、頭痛、ほてり、消化不良などの副作用があり、頻度は少ないもののStevens-Johnson症候群などの重篤な副作用も報告されています。さらに、心筋梗塞や狭心症に対して用いられるニトロ製剤は、PDE5阻害薬との併用により血圧低下の危険があるため、原則として併用は禁忌です。また、降圧剤や前立腺肥大症治療薬として交感神経α遮断薬(商品名カルデナリンやハルナールなど)を服用している場合にも、併用禁忌か慎重投与が必要になります。
 
血管内皮機能を改善し、酸化ストレスを軽減し、テストステロン(男性ホルモン)産生を増加させ、耐糖能と排尿障害を改善するPDE5阻害薬は究極のアンチエイジング薬の可能性があり、必要時(on demand)のみでなく定期的に服用すべき薬かもしれません。しかし、まだ十分なエビデンスが揃っておらず、副作用や併用禁忌・注意薬のある薬ですので、医師による診断と処方が必要です。
 

2015-03-24 17:54:00

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